高齢母の預金を好き勝手にする二男へ、長男が放った「痛撃の一打」…〈任意後見契約〉の活用術【司法書士が解説】

親族による「財産使い込み疑い」への対応策
認知症知症等により、自身での資産管理が難しくなった高齢者の資産を守るためには任意後見契約が有効ですが、制度の周知や理解は進んでいるものの、実際に活用されているケースはまだ多くありません。
本記事では、活用することで高い効果を得られたケース例を取り上げながら、制度の概要とメリットを紹介します。 多数の相続問題の解決の実績を持つ司法書士の近藤崇氏が解説します。親族による「財産使い込み疑い」への対応策
最近、一部の親族による金銭の使い込みを疑われる事案の相談を受けることがあります。 仮に、使い込まれている方がすでに認知症などで意思能力がないいようなケースでは、成年後見制度が大変有用なのですが、まだ対象者が高齢なだけでご健在のケースでは、「親族がゆえに厳しくいえない」
任意後見契約の「その前」は?
それでは、任意後見契約を結ぶまでは、年老いた身内の財産を管理する方法や制度はないのでしょうか? 任意後見の前段階にある契約として「財産管理契約」があります。 財産管理契約は任意後見契約同時に設定することが多いです。 この場合、 ▼第1章として財産管理契約
▼第2章として任意後見契約との構成になります。
「第2章」の任意後見契約が発行すると同時に、「第1章」の財産管理契約は終了します。
第1章の財産管理契約から、第2章の任意後見契約に移行するため、「移行型」などと呼ばれています。
任意後見などの受任者を司法書士などの第三者が受任する場合、「第3章」として死後事務委任契約が付随することが多いのも特徴です。
【財産管理契約における代理権目録の一例】

どさくさ紛れに、高齢母の通帳類を持ち去った二男
例えばこんなケースがありました。 任意後見を検討されているのは80代の女性(以下、母)で、家族は長男と二男です。 長男と二男はそれぞれ結婚して独立しています。80代の母は足が不自由で、夫を亡くして以降は、自宅近くの老人施設に入居しています。

移行型の財産管理契約・任意後見契約で母の財産を管理
そのことから、母と長男との間で、先般の財産管理契約の附随した「移行型」任意後見契約をすることになりました。 公証役場での契約締結後、長男は外出の難しい母親の代わりに、母が口座を持つ各銀行を回ります。 長男自身が、母の口座の入出金ができるよう、各口座での代理人としての設定及び通帳キャッシュカードの再発行をするためです。 一部の金融機関では、公正証書があったうえでも、母親の電話または来店での意思確認を求められることもあります。 公正証書があったからといって、各銀行の判断で無条件に代理人の設定ができるわけではありません。 しかし、母も自分の意思を明確に述べることができる状態ですので、手続きは無事に終わりました。 代理人の手続きが終わったあと、長男はこれまでの母の口座の取引履歴を請求しました。 すると、亡くなった父同様、母の口座からも数回にわたり合計700万あまりの引き出しを確認することができました。 長男が銀行での手続きを終えて1週間ほどが経ったころ、母の口座がある金融機関から「二男夫婦が銀行店頭で『母のキャッシュカード』が使えなくなったと叫んで、騒ぎになっている」との連絡が届きました。 当然、銀行としては、親子とはいえ他人のキャッシュカードを持っている二男夫婦に対応する理由はなく、二男夫婦はにべもなく銀行から追い返されます。 すると二男夫婦は、これまでほとんど訪れなかった母の施設に突然現れ、「さっさと印鑑を持って、俺と一緒に銀行に来い!」と母を連れ出そうとします。 折しもコロナ禍真っ最中で、外出はおろか、面会すら禁止している状況です。 制止する施設の職員を押し問答となったため、次回同じようなことがあれば、親族といえども警察に通報する旨、施設側は二男に通告しました。 その後、長男は話し合いの場を設けるため、二男に電話や書面で連絡を試みますが、二男側からは一切連絡がありません。 これまで二男夫婦が引き出した金銭については、親族間の問題になってしまうため現実問題として、訴訟等の対応は難しいのではないでしょうか。
近藤 崇2022.9.17 連載 現場第一主義の司法書士が語るここだけの話「第15回」 司法書士法人近藤事務所 代表司法書士

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