認知症などに備えておくために活用できる「成年後見制度」とは?

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更新日: 2022.12.14 老後

認知症などに備えておくために活用できる「成年後見制度」とは?
執筆者 : 山崎和義

 

知的障害・精神障害・認知症などの理由で、ご自身の財産管理や生活に際する各種契約を一人で行うのが難しい場合があります。

また、悪意のある者に不利な契約を押し付けられる恐れもあり、このような方々を法的に保護する制度が「成年後見制度」です。

この制度は将来の相続などに備えるためにも有効な制度ですので、ぜひ確認しておきましょう。

 

目次 [非表示]

1 成年後見制度について
2 任意後見制度
3 法定後見制度
4 成年後見制度を上手に活用しよう

 

1 成年後見制度について

成年後見制度」では、物事を判断する能力が十分ではない方について、その方(本人)の権利を守る援助者(成年後見人等)を選びます。

成年後見人等は、本人の生活・医療・介護・福祉など、身のまわりの事柄にも目を配りながら本人を保護・支援します。

この制度には判断能力が不十分になる前から利用できる「任意後見制度」と、判断能力が不十分になってしまった後に利用される「法定後見制度」があり、「法定後見制度」には本人の判断能力の程度に応じてさらに細かい類型が用意されています。

なお、成年後見制度を活用するには、所定の診断書と本人情報シートを準備の上、家庭裁判所に申し立てる必要があります。

申立必要書類/診断書
成年後見制度を開始する申立てでは、本人の精神上の障害の有無や判断能力の低下の有無・程度について、医師の作成した診断書を参考に裁判官が制度適用の可否を判断します。

この診断書は、精神神経疾患に関連する診療科において、本人の精神の状況に通じている医師によって作成されるものとされています。

 

2 任意後見制度

本人の判断能力が不十分になる前に、本人自ら任意後見人を選び、将来その方に委任する事務の内容を契約(任意後見契約)であらかじめ決めておき、

本人の判断能力が不十分になった後は、任意後見人が委任された事務を本人に代わって行う制度です。

任意後見制度の手続き開始は、本人や配偶者、四親等内の親族および任意後見受任者にて申し立てることができます。

制度の概要、留意点は次の通りです

・本人が選んだ任意後見人に財産管理、身上保護に関する代理権を付与
・任意後見契約は公証人の作成する公正証書で締結
・本人の判断能力の低下がみとめられる場合、家庭裁判所が任意後見監督人を選任、これにより任意後見契約の効力が発生

3つめについて補足すると、任意後見制度は、本人が任意後見人を選べますが、本人の判断が誤っていて、財産を横領するような不適切な任意後見人を選んでしまう恐れがあります。

そこで任意後見制度では、家庭裁判所が任意後見監督人を選定し、任意後見契約の内容通り仕事を遂行しているか監督する仕組みとなっています。

任意後見監督人選任の審判は、本人の申立てでない場合は、本人の同意が必要です(ただし、本人が意思表示できないときは不要)。

任意後見契約公正証書の作成費用

公正証書の主な作成費用は次の通りです。

・公証役場の手数料:1万1000円(一契約につき)
・法務局への登記嘱託手数料:1400円
・法務局に納める印紙代:2600円
・その他、交通費、郵送費など

任意後見制度の活用に必要な費用

本制度申立て、および実行に関する主な費用は次の通りです。

・家庭裁判所への申立手数料:800円
・登記手数料:1400円
・その他、医師の診断書作成費用、郵送費など

また、家庭裁判所により選定された任意後見監督人から報酬の請求があった場合は、裁判所の審判により、本人の財産から報酬が支払われます。

3.法定後見制度

本人の判断能力が不十分になってから、家庭裁判所によって成年後見人等が選ばれ、本人の権利を支援、保護する制度です。

本人の判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3類型があります。

 

3つの類型について

法定後見制度の3類型の特徴をまとめると、図表1のようになります。
 
【図表1】

区分 後見 保佐 補助
本人の判断能力 判断能力が欠けているのが通常の状態 著しく不十分 不十分
援助者
(成年後見人等)
成年後見人 保佐人 補助人
成年後見人等が同意または取り消すことができる行為(注1) 原則としてすべての法律行為 借金、相続の承認など、民法13条1項記載の行為のほか、申立てにより裁判所が定める行為 申立てにより裁判所が定める行為
成年後見人等が代理することができる行為(注2) 原則としてすべての法律行為 申立てにより裁判所が定める行為 申立てにより裁判所が定める行為

注1:成年後見人等が取り消すことができる行為には、日用品の購入など日常生活に関する行為は含まれません。
注2:本人の居住用不動産の処分については、家庭裁判所の許可が必要となります。
 
出典:最高裁判所事務総局家庭局「成年後見制度における判断書作成の手引 本人情報シート作成の手引」をもとに筆者作成
 

法定後見制度の活用に必要な費用

本制度申立てに関する主な費用は、図表2の通りです。
 
【図表2】

区分 後見 保佐 補助
申立手数料 800円 800円(注1) 800円(注1)
登記手数料 2600円 2600円 2600円
送達・送付費用 3270円 4210円 4210円
鑑定費用(注2) 10万円〜20万円程度

(注1)保佐申立てや補助申立てで、代理権や同意権の付与申立てもする場合には、さらにそれぞれ800円分の手数料が必要です。
(注2)本人の判断能力がどの程度あるかを判定するものです。申立時に納める必要はなく、裁判所が審理を進め、鑑定が必要と判断した場合は納める必要があります。
 
出典:最高裁判所ホームページ「申立てにかかる費用・後見人等の報酬について 東京家庭裁判所後見センター」をもとに筆者作成
 

4 成年後見制度を上手に活用しよう

成年後見制度は将来の相続などに備えるために有効な制度ですが、多くの方にはなじみが薄いかもしれません。
 
しかし、厳格なルールが定められており、本人やその家族ともに安心して利用できる制度なので、親族に不安がある方は、お住まいの市町村の窓口に相談してみることをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 成年後見はやわかり 成年後見制度とは?
厚生労働省 成年後見制度パンフレット0203
裁判所 成年後見制度
 
執筆者:山崎和義
2級ファイナンシャル・プランニング技術士

 

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