社会保障審議会 介護保険部会(第102回 11/24)《厚生労働省》
地域の高齢者の総合相談や介護予防の援助を行う全国の地域包括支援センターについて、厚生労働省は24日、主任介護支援専門員といった3職種の配置を複数の拠点の合算で認めるなどの職員配置の柔軟化を社会保障審議会・介護保険部会に提案した。人材の確保が困難な中で、基幹型や機能強化型のセンターを後方支援するセンターの設置を促す狙いがある。部会では今後詳細を詰め、年内に結論を出す。
地域包括支援センターでは、配置された保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員などが住民の健康の保持や生活の安定のために必要な援助を行う。設置主体は各市町村で、その数は2021年4月末現在で全国に約5,300カ所。
厚労省によると、22年度に実施した調査の中間集計で、複数の業務のうち、総合相談支援業務について、回答したセンターの3割超が「最も負担と感じる」と答えた。
一方、「最も重要だと感じる」と答えた業務では約7割が総合相談支援業務を挙げた。
また、配置が必要な3職種の採用活動の目的について、6割超のセンターが「配置基準を満たすため」だとした。
採用活動により人材が確保できた割合を職種別で見ると、社会福祉士が69.6%、保健師は44.8%、主任介護支援専門員は34.1%で、主任介護支援専門員などの確保が特に難しいことが明らかになった。
こうした現状を踏まえ、厚労省は24日の部会で、センターでは原則として3職種の配置を必須としつつ、現行では同一法人でのみ認められているサブセンター形式と同様に、複数の拠点で合算して3職種を配置することも可能とするなど、柔軟な職員配置を進める方向性を示した。
また、主任介護支援専門員の確保が困難であることや、センターが将来の主任介護支援専門員を自ら育成するという観点から、人員配置基準で規定されている主任介護支援専門員に「準ずる者」の範囲を拡大することも提案。
総合相談支援業務を効果的に実施できるよう、居宅介護支援事業所や小規模多機能型居宅介護事業所といった地域密着型の拠点を、センターにつなぐためのブランチやサブセンターとして活用することを進めることも論点に挙げた。
議論では、染川朗委員(UAゼンセン日本介護クラフトユニオン会長)が、居宅介護支援事業所もセンターと同様に、
主任介護支援専門員が不足していると指摘。
「準ずる者」の範囲の拡大はあくまでも緊急的な措置とし、経験豊富な介護職員が主任介護支援専門員や介護支援専門員になることを目指すような動機付けの取り組みを求めた。
センターは、担当する区域での65歳以上の高齢者がおおむね3,000人以上6,000人未満ごとに、▽保健師その他これに準ずる者▽社会福祉士その他これに準ずる者▽主任介護支援専門員その他これに準ずる者-を原則として配置する必要がある。
このうち、主任介護支援専門員に「準ずる者」は、ケアマネジメントリーダー研修を修了した上で、介護支援専門員としての実務経験があり、介護支援専門員の相談や地域の介護支援専門員への支援に関する知識や能力を備えている人と規定されている。
ただ、その研修は07年度以降実施されておらず、保健師に比べて主任介護支援専門員に「準ずる者」の従事率が極めて少ないのが現状だという。